ホワイトラビット歯科医院では、6月に保育園での検診を行っています。
今回は小児のことについての論文を紹介します!
3〜5歳児の「口腔習癖(指しゃぶり・爪かみ・口呼吸など)」と、保護者の歯科保健行動(仕上げ磨き・定期受診・フロス使用など)との関連を調査した研究です。
① 最も多かった口腔習癖は爪かみ
現在みられる習癖で最も多かったのは:
・咬爪癖(22.8%)
・うつぶせ寝
・歯ぎしり
一方、過去にあって現在消失していた習癖では:指しゃぶりが最多
② 保護者の「仕上げ磨き頻度」と咬爪癖に関連があった
特に重要な結果として、
・毎日仕上げ磨きをしている家庭
→ 咬爪癖が少ない
・仕上げ磨き頻度が少ない家庭
→ 咬爪癖が多い
という有意な関連がありました。
つまり、
「日常的な親子の口腔ケア習慣」が、
子どもの口腔習癖にも影響する可能性
が示唆されています。
③ ご家族の行動は子どもに強く影響する
・保護者がフロスを使う
→ 子どもにも使う傾向
・保護者にかかりつけ歯科医院がある
→ 子どもにもある傾向
→保護者自身の歯科意識が、そのまま子どもの行動に反映されやすいということです。
重要な視点
口腔習癖=クセだけの問題ではない
背景には、
・家庭環境
・親子の関わり
・保護者の健康意識
・日常的なコミュニケーション
などが関与している可能性があります!
ポイント:ご家族様のサポートが重要
子ども本人だけでなく、
・仕上げ磨き
・フロス習慣
・定期受診
・生活習慣
について、ご家族様へ継続的に関わることが重要。
習癖を「無理にやめさせない」
・強制的な中止
・強い叱責
は心理的負担につながる可能性があると示唆されています。
そのため、
・肯定的な声かけ
・原因背景の理解
・家庭状況への配慮
が必要です。
「子どもの口腔習癖は、家庭での歯科保健行動や親子関係と密接に関わっている」
つまり、
口腔習癖への対応は、
単なるクセの除去ではなく、
“家族全体への支援”として考えることが重要という内容です。
本研究「幼児の口腔習癖と保護者の歯科保健行動との関連性」は、3〜5歳児の口腔習癖と、保護者の歯科保健行動との関連について調査した研究です。近年、歯科健診や小児歯科臨床の場では、むし歯だけでなく、 歯並びや咬み合わせ、口腔習癖に関する相談が増加しています。特に保護者は、子どもの歯列や咬合に高い関心を持っており、歯科医療従事者にはう蝕予防のみならず、習癖や口腔機能への対応も求められています。
口腔習癖とは、指しゃぶり、爪かみ、口呼吸、頬杖、舌突出など、口腔周囲で繰り返される癖のことであり、これらは歯列不正や開咬、上顎前突などの不正咬合だけでなく、咀嚼、嚥下、発音といった口腔機能にも影響を及ぼすとされています。特に吸指癖は、不正咬合との関連が多く報告されており、長期化することで永久歯列にも悪影響を及ぼす可能性があります。そのため、口腔習癖への適切な理解と対応は小児歯科領域において重要な課題となっています。
一方で、幼児のう蝕とご家族様の歯科保健行動に関する研究は多いものの、口腔習癖とご家族様の歯科意識や行動との関連については十分に明らかになっていないです。そこで本研究では、幼児の口腔習癖の実態を調査するとともに、家庭環境や保護者の歯科保健行動との関連を明らかにし、今後の歯科保健指導へ活用することを目的として実施されました。
調査対象は、神奈川県秦野・伊勢原地区で開催された「歯と口の健康週間事業」に参加した5歳児のご家族様86名と、東京都内の保育園に通う3〜5歳児の保護者31名、合計117名でした。そのうち有効回答数は83名であり、有効回答率は52.5%でした。調査は無記名式アンケートにより実施され、幼児とご家族様の基本属性、口腔習癖の有無、歯科保健行動などについて質問が行われました。
調査の結果、現在何らかの口腔習癖を保有している幼児は65.1%であり、半数以上の幼児に口腔習癖が認められた。最も多かった習癖は「咬爪癖(爪かみ)」で22.8%、次いで「うつぶせ寝」が18.4%、「歯ぎしり」が17.3%でした。一方、「特になし」と回答した保護者は34.9%でした。
過去に保有していたが現在は消失した習癖として最も多かったのは「指しゃぶり」であり、26.4%を占めていました。吸指癖は幼少期に多くみられる習癖であり、年齢の増加とともに自然消失する傾向があることが先行研究でも示されている。本研究でも同様の結果が得られ、年齢が高い幼児ほど吸指癖は減少し、代わりに咬爪癖の割合が増加していました。
また、本研究では兄弟の有無と口腔習癖との間に有意な関連が認められました。特に長子に口腔習癖が発現しやすい可能性が示唆されています。これは、弟妹の誕生によりご家族の関心が分散し、精神的な不安やストレスが口腔習癖として表れる可能性があるためと考察されていた。口腔習癖は単なる癖ではなく、幼児の心理的側面や家庭環境とも深く関係していることがうかがえる。
ご家族様の歯科保健行動については、多くのご家族様が歯科に対して高い関心を持っていることが明らかになった。かかりつけ歯科医院を持つご家族様は79.5%であり、定期的に歯科受診をしているご家族様も54.2%に達していました。また、デンタルフロスを知っているご家族様は90.4%と高かったです。
しかし、実際にデンタルフロスを「ほぼ毎日使用している」と回答したご家族様は20.0%にとどまり、「使用していない」が38.7%と最も多かったです。このことから、知識としては理解していても、実際の行動には結びついていない保護者が多いことが示されました。つまり、歯科保健指導では知識提供だけでなく、継続的な行動変容を促す支援が必要であると考えられる。
子どもに対する歯科保健行動については、かかりつけ歯科医院を持つ幼児が69.9%であり、定期的に歯科受診を行っている幼児も53.0%であった。さらに、ご家族様とかかりつけ歯科医院の有無には有意な関連が認められた。つまり、ご家族様自身が歯科に関心を持ち、定期的に通院している家庭では、子どもも同様に歯科受診習慣を持つ傾向があった。
また、デンタルフロスについても、ご家族様自身が使用している場合には子どもにも使用する傾向が認められた。このことから、ご家族様の歯科保健行動は子どもの行動に強く影響していることが明らかとなった。
フッ化物塗布経験のある幼児は81.9%であり、多くの家庭でう蝕予防への意識が高いことがわかりました。フッ化物塗布を行ったきっかけとしては、「歯科医師や医師に勧められた」が最も多く、次いで「ご家族様自身で調べた」でした。一方で、フッ化物塗布を行わない理由としては、「必要性を感じない」「関心がない」などの回答もみられ、予防歯科に対する理解不足が一部に存在していることも示されました。
特に本研究で重要な結果として、保護者による仕上げ磨きの頻度と、幼児の咬爪癖との間に有意な関連が認められました。毎日仕上げ磨きを行っている家庭では、咬爪癖を持たない幼児が多く、反対に仕上げ磨きの頻度が少ない家庭では、咬爪癖を有する幼児が多い傾向がみられました。
この結果から、仕上げ磨きのような日常的な親子の関わりや歯科保健行動が、幼児の口腔習癖の発現や抑制に影響している可能性が示唆されました。仕上げ磨きは単なる清掃行為ではなく、親子のコミュニケーションの場でもあるため、安心感や愛着形成にも関与している可能性が考えられます。
研究では、口腔習癖を無理にやめさせることへの注意が必要です。過度な叱責や強制的な中止は、幼児の心理的負担となり、かえって別の問題行動につながる可能性がある。そのため、歯科医師や歯科衛生士は、単に習癖を除去するのではなく、家庭環境や心理的背景を理解したうえで支援する必要があると考察されている。
さらに、子ども本人だけでなくご家族様へのアプローチが重要であることも強調されています。幼児の歯科保健行動はご家族様の意識や生活習慣に大きく左右されるため、ご家族様に対して継続的な保健指導を行い、家庭全体の歯科意識を高めることが求められます。
まとめ
幼児の口腔習癖は家庭環境やご家族様の歯科保健行動と密接に関連していることが示されました。特に、仕上げ磨きなどの日常的な歯科保健行動は、幼児の咬爪癖の発現抑制に関与している可能性があります。また、ご家族様自身の歯科意識や行動は、子どもの歯科受診やセルフケア習慣にも大きく影響していた。
したがって、今後の歯科保健指導では、子どもへの直接的な指導だけでなく、家族様への支援や家庭環境への配慮を含めた包括的なアプローチが必要であると考えられます。口腔習癖への対応は単なる「癖をやめさせる指導」ではなく、親子関係や生活背景を理解しながら行うことが重要であり、当院でも、サポートさせていただきますのでご遠慮なくご相談いただければと思います(^^)



