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2026.05.07更新

先日、セミナーに参加したので、その内容をお伝えします!
ご自身に直接関係ない方でも周りの方にお伝えいただければ幸いです♡

【概要】
・マイナス2歳からの予防歯科とは妊娠の約1年前から母親の栄養状態や生活習慣を整えることで、これから生まれてくる子どもの健康や口腔環境の基盤をつくること

日本の現状は、低出生体重児の割合が高く、将来生活習慣病になるリスクが高くなるといわれている

歯科の分野からも妊娠前や妊娠中の栄養状態は、歯の形成や発育、石灰化の過程に大きく関与します

・特に若い女性は糖質や脂質を摂っており、身体に必要なたんぱく質やビタミンミネラルが不足しがちです

・今日から対策できることとして「よく噛んで食べる」「リアルフードを食べる」「朝にタンパク質を摂る」
「ピロリ菌がいた場合除菌をする」


マイナス2歳からの予防歯科」とは、従来の「虫歯になってから治す」「生まれてから予防する」といった考え方を一歩進め、妊娠の約1年前から母親の栄養状態や生活習慣を整えることで、これから生まれてくる子どもの健康や口腔環境の基盤をつくるという新しい予防の概念です。
つまり、子どもの健康は生まれる前から、さらには妊娠する前から始まっているという視点に立った取り組みです。
 この考え方の背景にあるのが「DOHaD(Developmental Origins of Health and Disease)」という概念です。これはイギリスの研究者デビッド・バーカーによって提唱され、胎児期から乳幼児期の環境が、その人の将来の健康状態や病気のかかりやすさに大きな影響を及ぼすとするものです。特に重要とされるのが「人生最初の1000日」で、妊娠期間約280日と、生後2年間(約730日)を合わせた時期を指します。この期間にどのような栄養を取り、どのような環境で過ごすかが、その後の人生の土台を大きく左右します。
たとえば、妊娠中に母体から十分な栄養が供給されなかった場合、胎児は限られたエネルギーで生き延びるために「省エネ型」の体質を獲得します。この体質は出生後、食べ物が豊富な環境に置かれた際にエネルギーを蓄えやすくなり、結果として肥満や2型糖尿病、高血圧、脂質異常症、心血管疾患といった生活習慣病のリスクを高めることが知られています。さらに、腎臓病や免疫機能の異常、さらにはうつ病や発達障害、統合失調症などの精神疾患との関連も指摘されています。
日本においては、こうした問題が特に顕著に表れています。2500g未満で生まれる「低出生体重児」は先進国の中でも高い水準で、約10人に1人の割合です。その背景には、若い女性の過度なやせ志向や無理なダイエット、栄養不足、高齢出産の増加、不妊治療の影響、そして「小さく産んで大きく育てる」という価値観などがあると考えられています。胎児期は、体のエネルギー代謝や臓器機能の基盤が形成される極めて重要な時期であり、この段階での栄養状態がその後の健康に長く影響を及ぼします。
この影響は歯科領域にも及びます。妊娠前や妊娠中の栄養状態は、歯の形成や発育、石灰化の過程に大きく関与します。例えば、口唇口蓋裂、歯の形態異常、エナメル質形成不全などのリスクが高まる可能性があります。また、歯ぎしりや食いしばり、嘔吐反射の強さ、甘いものを好む傾向といった行動特性や口腔機能にも影響することが知られています。したがって、歯科医療は単なるむし歯や歯周病の治療にとどまらず、全身の健康や栄養状態にまで目を向ける必要があります。
しかし現代の日本人女性の食生活には、多くの課題があります。カロリーは十分、あるいは過剰に摂取しているにもかかわらず、鉄分、タンパク質、ビタミン、ミネラルといった必須栄養素が不足している「現代型栄養失調」が問題となっています。
例えば、朝はパンとカフェラテ、昼はパスタや軽食、間食にお菓子やジュース、夜はご飯と少量のおかずといった食事では、エネルギーは足りていても糖質や脂質などが多くて栄養の質が大きく偏ってしまいます。
特に深刻なのが鉄不足です。20〜40代女性の約65%が貧血または隠れ貧血とされており、月経によって毎月鉄が失われる女性は、意識的に摂取しなければ慢性的に不足しやすい状態にあります。鉄が不足すると、疲れやすさ、だるさ、集中力の低下、イライラなどの症状が現れます。また、甘いものがやめられない、氷を噛む癖がある、髪が抜けやすい、爪が割れやすいといったサインも鉄欠乏の可能性を示しています。
鉄を補うためには、レバー(鶏・牛)、赤身肉(牛・豚)、魚(カツオ、マグロ、イワシ)などの食品を積極的に取り入れることが重要です。加えて、卵や納豆といった食品も良質なタンパク質源として有効です。日々の食事の中でこうした食材を少しずつ取り入れていくことが、健康状態の改善につながります。

DOHaD概念図

 

 

【今日から実践できるポイント】
「よく噛んで食べる」ことが挙げられます。しっかり咀嚼することで唾液の分泌が促され、消化吸収がスムーズになります。むし歯や歯周病があると噛む力が低下し、消化のスタート段階でつまずく原因となります。また、ピロリ菌によって胃に炎症が起こると、胃の働きが低下し、栄養の吸収効率が落ちる可能性があります。そのため、口腔内の健康維持と胃腸環境の改善は密接に関係しています。
「リアルフード」を意識することが重要です。これは、できるだけ自然に近い状態の食材を選び、加工食品の摂取を減らすという考え方です。工場で大量生産された食品ではなく、家庭で調理された食事を中心にすることで、栄養バランスが整いやすくなります。
「朝にタンパク質を摂る」ことも重要なポイントです。成人女性の1日の推奨タンパク質摂取量は約50gですが、妊娠後期にはさらに25g、授乳期には20gの追加が必要とされています。理想的には、毎食20~30gずつと分けて摂取することが望ましいです。たんぱく質は食べ貯めができない栄養です。タンパク質をしっかり摂ることで、鉄やビタミンなどの栄養素も同時に摂取しやすくなります。
④「ピロリ菌」の存在も見逃せません。ピロリ菌は主に幼少期に口から感染し、胃の粘膜に炎症を引き起こします。これにより胃炎や胃潰瘍、さらには胃がんの原因となることが知られており、胃がんの90%以上に関与しているとされています。さらに、ピロリ菌に感染していると、鉄、ビタミンB12、亜鉛、ビタミンC、タンパク質といった栄養素が不足しやすくなります。
ピロリ菌の感染は、歯周病の悪化や口臭、出血とも関連しており、歯科領域とも密接な関係があります。そのため、歯周病が重い場合や原因不明の栄養不足がある場合には、血液検査や胃の検査を通じてピロリ菌の有無を確認し、必要に応じて除菌治療を行うことが推奨されます。ただし、除菌はゴールではなくスタートであり、その後の栄養管理や生活習慣の改善が不可欠です。
胃の粘膜が回復するまでには数年かかることもあるため、長期的な視点でのケアが必要です。
当院では、従来のブラッシング指導だけでなく、管理栄養士による食事指導や血液検査を取り入れた包括的な健康支援が行われています。すべての患者に対して栄養カウンセリングを実施し、個々の状態に応じたアドバイスを提供する取り組みも増えています。また、若年層の方に対しては美容や肌の状態、体調の改善といった関心の高いテーマと結びつけて栄養の重要性を伝える工夫も行っております。加えて50代以上の患者に情報を伝えることで、その子ども世代や孫世代へと知識が広がるという波及効果も期待しております。
さらに、医院公式SNSや資料配布、スタッフ間での情報共有などを通じて、患者への啓発活動も行っております。
【まとめ】
「マイナス2歳からの予防歯科」は、単なる歯の健康管理ではなく、次世代の健康を守るための包括的な取り組みです。日々の食事や生活習慣の積み重ねが、自分自身の健康だけでなく、これから生まれてくる子どもの未来にも大きな影響を与えます。すべてを一度に変える必要はありませんが、できることを一つずつ取り入れていくことが重要です。
今、何を食べ、どのように生活するかという選択が、未来の健康を形づくります。「マイナス2歳からの予防歯科」という視点を持つことで、より広い意味での予防医療が実現し、より健やかな社会づくりにつながっていききたいです。

 

投稿者: ホワイトラビット歯科医院

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