歯の神経を残すのはなぜ大切か?
永久歯の本数は、親知らずを合わせると32本あり、 その1本1本に神経が通っているのをご存じでしょうか?
その数の多さからか、中には「1本ぐらい…」と安易に神経を失う方もいらっしゃいます。
実は、神経の有無で歯の寿命が大きく変化します。
重度の虫歯を治療する際に「歯の神経を取る処置をする」と聞くことがあると思います。
歯の内部にある神経と血管は、歯髄(しずい)とよばれています。
歯髄は顎骨の中の神経や血管とつながっています。
歯髄は除去すると再生しないので、 血液の循環が無くなり栄養がいきわたらないため、歯がもろくなるなってしまいます。
このため当院では、歯の寿命を延ばすために、できるだけ歯髄の保存につとめています。
歯の神経の主な働き
・歯が割れるのを防いでくれる
・歯の中で膿が溜まるのを防いでくれる
・虫歯の進行を遅らせてくれる
・歯に起こった変化を知らせてくれる
安易に神経を抜いてしまうと、これらの働きがすべて失われ、 再治療や抜歯になることが度々あります。
神経を抜いてしまうと、歯の寿命は約15年も短くなります。 また、20~25年後には抜歯になるというデータも出ています。
20歳で神経を抜くと40歳代には抜歯になる計算になります。
虫歯が悪化して歯髄(歯の神経や血管がある部分) まで達してしまった場合、
多くの場合では抜歯という選択肢を迫られます。 しかし近年では、虫歯菌に冒されて死んでしまった神経を取り除く根管(こんかん)治療を行うことで、その歯を残せるようになりました。
さらに近年では、 神経を取り除くことなく保存する「歯髄保存療法」が用いられるようになっています。
この治療はどの医院でも行えるわけではありませんが、 当医院では特別なお薬を使用することで対応が可能です。
歯の神経・血管がある部分を指す「歯髄」。
歯髄は歯にかかるさまざまな刺激を感知するほか、虫歯菌に抵抗する免疫細胞が持つ防御機能などによって、歯を守る役割を担っています。そのため、歯髄を失った歯はもろくなってしまうのです。
人が歯を失う大きな理由の一つが、「歯根破折」です。
歯根破折が起きる歯のほとんどは、歯髄を失った歯(失活歯)だといわれています。
また同じく歯を失う原因となる「根尖(こんせん)病巣」や「根尖性歯周炎」などの病気も、根管治療などによって歯髄を失った歯で起きています。
つまり、歯髄を失うことは歯の寿命を縮めることに直結しているのです。
当医院では大切な歯を守るためには歯髄を残すことが欠かせないと考え、 歯髄保存療法による治療を行っています。
症状の進行
- 特別なお薬を使用することで、まだ歯髄除去せずに、炎症が収まる可能性があります。
- 痛みがいったん感じられなくなりますが、このまま何も治療しないと抜歯が必要になります。
- 根尖性歯周炎です。激痛が走り、膿が出ることもあります。 根管治療が必要です。
※通常の根管治療では再発率が70%というデータがあります。
当医院では、マイクロスコープと特別な薬剤を使用した根管治療をご選択頂いています。
歯髄保存療法その① 《ドックベストセメント》
ドックベストセメント治療は、ドックベストセメントに含まれるマンガン(Mn)鉄(Fe)銅(Cu)マグネシウム(Mg)亜鉛(Zn)イオンの殺菌力により、虫歯を除去しないで無菌化する治療方法です。
歯髄内の幹細胞がドックベスト間のミネラルによって象牙芽細胞の変化して第三象牙質を作ります。
- 象牙質まで及ぶある程度の大きさにの虫歯が対象になります。
虫歯の表面のぐずぐずになっている部分は、手用の器具で除去します。(ぬぐう程度) - 神経を刺激しないように虫歯の表面を温めた消毒薬で洗います。
- 虫歯の内部に浸透する薬液ドックベストセメントを混ぜ虫歯の表面に何層か塗布して、その上からドックベストセメントをしいて虫歯を覆います。
- さらに上から封鎖用のセメントをしいて経過を見ていきます。
ドックベストセメントとはイオンの抗菌力と抗生剤ではなく、
天然のミネラルの力でむし歯を死滅させ、柔らかくなった歯を硬い歯に戻すことのできる画期的なセメントです。
薬ではないのでアレルギーの心配はありません。
永続的な殺菌効果が期待できます。
ドックベストセメント治療は、虫歯治療や根管治療などの治療時に行いますが、特に虫歯を完全に除去すると神経まで達してしまい、神経を抜くことになってしまう時などにドックベスト治療を行うと、神経を抜かないで済む確率が高くなり、
結果的に歯の寿命を伸ばすことにもつながります。
ドックベストセメント治療は痛みがない
一般的な虫歯治療と違い、ドックベストセメント治療は必要以上に歯を削らないので、痛みを感じないことがほとんどです。
また麻酔も必要無い場合がほとんどです。
ドックベストセメント治療は歯の神経を残せる可能性が高い
ドックベストセメント治療は、ドックベストセメントの鉄イオンと銅イオンの殺菌力により、神経を残せる可能性が高くなります。
ドックベストセメント治療は象牙質を再生させる可能性がある
ドックベストセメント治療は、虫歯菌に侵されている歯の内部の象牙質をドックベストセメントの鉄イオンと銅イオンによる殺菌力で殺菌することにより、それらの象牙質の再石灰化を促します。
※保険外治療となります
1歯 15,000円(税別)
歯髄保存療法その② 《MTAセメント》
むし歯が進んでしまったら・・・
歯の神経にむし歯が達すると痛みを伴うことはもちろんですが、歯の根が炎症を起こしたり、膿がたまることで生活に支障を来たすこともあり得ます。
そのため、むし歯が歯質を突き抜け神経に届いてしまうと、 通常の歯科治療では「抜髄」という歯の神経を抜く処置を行わなければなりませんでした。
そして、神経を抜いた歯は失活歯と言われ、生活歯(神経のある健康な歯)と比べて歯が脆くなり、歯の寿命が短くなってしまいます。
そのため、むし歯治療においては神経を取る前に治療を行うことが重要となります。
歯の神経を守るための治療法
近年、MTAセメントというむし歯が歯髄に達しても歯の神経が生きていれば、神経を残したまま治療できる治療法が確立されつつあります。
MTAセメントとは、封鎖性と殺菌性に優れた歯の治療剤で、むし歯の感染部分を除去し、MTAセメントおいた上から補綴治療を行うことで、神経を残したまま治療することが可能な治療法です。
MTAセメントは人体への親和性も高く、身体にも優しい素材です。
神経を抜いた後の治療の費用や歯1本の価値を考えれば効果の高い治療法と考えられています。
日本再生歯科医学会誌に掲載された論文では、MTAセメントは歯髄再生の足場としての能力は 高いと考えられると結論づけています。
実は歯の咬み合わせの崩壊は、たったひとつの小さな虫歯からはじまることがあります。
小さな虫歯になると、歯科治療ではそのむし歯よりも大きく削りとらなければなりません。
そして削った部分に付けた詰め物が例えば銀歯であれば、経年と共に劣化し、二次カリエスとなる可能性は低くありません。
そしてその二次カリエスをさらに大きく削りどんどん自分の歯質はなくなってしまいます。
これを削らずに治療することは出来ません。
この咬み合せの悪循環なルートを止めるのにも、MTAセメントは有効であると考えています。
たとえば二次カリエスを大きく削って露髄したとしても、このMTAセメントで断髄治療することで、C2以上になったむし歯も神経を残したまま治療出来る可能性が高くなりました。
MTAセメントによる歯髄保護・断髄にはリスクを伴います。
残念なことに、MTAの適応は、肉眼でむし歯の進行を確認するまで判断が出来かねます万が一むし歯を削った上で「MTA」が出来ないと判断した場合、抜髄の処置が必要となります。
MTAセメントの治療精度は100%ではありません。
施術が完了した後でも、生活反応をしなければ抜髄をする必要があります。
※必ずしも神経が残せるという保証はありません
※保険外治療となります
1歯 30,000円(税別)